リスク・マネジメントとは
リスク・マネジメントは、現在も進化を続けています。
リスク・マネジメントは、1960年代に保険分野から発展し、その概念は今日に到るまで数多くの人々の努力と熱意により進化し、これからも発展・進化していきます。リスク・マネジメントは、欧米企業の間に広く普及し、企業の経営にとって必要不可欠な手法として大きな役割を担っています。近年、日本企業においても、リスク・マネジメントの必要性が認識され、実際に取り組みも始められています。
リスク・マネジメントは、企業の事業環境において、
- エクスポージャーを分析する。
- リスク・マネジメント手法を検証する。
- 適切なリスク・マネジメント手法を選択する。
- 選択したリスク・マネジメント手法を実行する。
- 実行した結果を評価し、必要であれば他のリスク・マネジメント手法を選択する。
という1.~5.のプロセスで実行されています。リスク・マネジメントの手法には、資料-1で示された手法があり、これらの手法を組合せてリスクを効率よく処理します。
そもそもリスクとは何でしょう。
一般的にリスクとは、過去・現在・未来の事象から発生する不確実性といわれています。企業は、おかれている事業環境を把握し、リスクの影響を評価し、対策を講じ、そして結果を検証します。このサイクルを実行し、不確実性を減少させ、将来へ向けて事業を安定・継続させていくのがリスク・マネジメントです。
リスクと同様に危険と表現される言葉に次のものがあります。
ペリル(Peril)
損害を発生させる原因。例えば、火災、地震・台風等の天災、自動車事故
ハザード(Hazard)
損害の発生の可能性を高める(助長する)状態。例えば、劣悪な労働衛生環境、脆弱な内部統制
エクスポージャー(Exposure)
損害を受ける可能性のある対象。例えば、建物・設備、現金、従業員、資産、信用、特許・営業権等の人的・物的資産、金融資産、知的財産権
上記の要因が重なって、損害が発生します。損害には、エクスポージャーに与える直接損害とその直接損害に付随して発生する間接損害があります。直接損害は、建物や設備、従業員が被った損害です。間接損害は、建物、設備、従業員が被った損害により発生した事業中断による売上・利益の減少、収入の喪失等です。
では、具体的に、これらの損害に対してリスク・マネジメントがどのように寄与するのでしょうか。
リスク・マネジメントには、リスク・コントロールとリスク・ファイナンシングの2つの手法があります。